「文章が上手くなりたいんです」
「なんで?」
「ブログを読んでほしいから。私に文章力がないから記事を書いても読まれないんです。文章が上手くなれば読んでもらえると思って」
こんなやり取りを耳にすることがあります。
では、文章が上手くなれば記事が読まれるのでしょうか?
答えは「No」です。
読みやすい記事をかくために最低限押さえておきたいポイントは
もちろん読みやすい文章を書くという事は大切です。話の要点があちこちに飛んで何が言いたいのかわからない文章では読み続けてもらうことは出来ません。
とはいえ、まず押さえておきたいのは以下の5点
・1文は簡潔に書く(長すぎる文章はNG)
・要点は箇条書きにする
・起承転結など結論やその結論に至った理由をわかりやすく書く
・見出しを上手くつかって簡潔に内容を伝える
・専門用語や業界用語には注意(必要な場合は注釈をつける)
これらも最初から完ぺきにしようと思わなくても大丈夫。少し意識するだけでもグッと読みやすい文章になります。
読み手を引き付けるキャッチコピーや目を引く文章。文章を書くうえでは様々な技があります。
確かにそのような文章力があればより読者をひきつける文章を書くことが出来るかもしれません。でもそのような文章力がある人は極々わずか。ほとんど人はそんな文章力がなくても、押さえるべきポイントを押さえておけば読まれる、読み続けてもらえる文章を書くことが出来るのです。
読まれる、読み続けてもらえる文章を書く3つのポイント
では読まれる文章を書くうえで必要なことはなんでしょうか?
どれだけ上手い文章を書いても以下の視点が抜けている文章は残念ながら読み続けてもらうことは出来ません。
逆にいえば、次の3つのポイントを押さえておくことで、高度な文章力はなくても読みたいと思える記事を書くことが出来るのです。
1 自分が伝えたい事ではなく読み手が知りたい事について書く
・自分の知っていることを全て伝えたい
・自分が扱っている分野がもっと広まってほしい
・こんなに素敵な内容なのに知らない人がいるなんてもったいない…
このような熱い思いで発している専門家の方って実は結構いるのではないでしょうか?
ただこの熱い思い行き過ぎると注意が必要です。
「伝えたい・知ってほしい」そういう思いばかりが先走ってしまうと、読み手が知りたい事ではなく、自分が伝えたいことばかりを書いている記事になってしまいがちです。
また何か新しく学ぶと、学んできたことを伝えたくてそのことばかり発信している人を見かけることもあります。
新しい学びは今提供しているサービスや商品の根本では繋がっているかもしれませんが、お客様にしてみれば「いきなりどうしたの??」となってしまい戸惑いを覚えることも…
熱い思いを文字にぶつける前に、読み手がお客様が知りたい事はなんなのか?いったん冷静になって考えてから書き始めることが大切です。
そして新しいことを発信する場合は、なぜそのことを発信するのか読み手にも理解できるように書いていく必要があります。
自分を知ってもらうためにも思いや理念を語る記事は大事です。ただ全ての記事でそれが全面に押し出されていると残念ながら暑苦しくなりがち。
記事のメインは読み手が知りたい事、そこにサブ的に自分の思いや伝えたい事を書き加えていきましょう。
2 自分の価値観を読み手に押し付けない
突然ですが…
例えば、1+1は?と聞かれたらどう答えますか?
ほとんどの人は2と答えるでしょう。私も2と答えます。今までずっとそう答えてきた人がほとんどだと思います。
しかし1+1=2というのはあくまでも数学の概念であって、別の概念で考えると必ずしも1+1=2にはならないという意見もあります。
これは極端な例ですが、実際世の中で「○○は〇〇である」と答えが決まっているものって、周りを見渡してもあまりないのではないでしょうか?
にも拘わらず、なぜか文章になると「〇〇は〇〇である」と断定する記事や発信を多く見かけます。このような発信を見かけるたびに、「それは本当に言い切ってもよい内容なの?」と思うのです。
もちろん広い範囲で常識とされている内容であれば、ある程度は言い切っても問題ないでしょう。
それに言い切りの文章には「自信を持って伝えている」と感じてもらえるメリットもあります。
しかしその反面言い切っている文章には
・価値観を押し付けられそう
・違う考えは否定されそう
・考える余白がなくて窮屈だ
と感じてしまうデメリットもあります。
あくまでも一つの考え、一つの価値観を「これが真実だ!」と言わんばかりに言い切っている文章は、結果的に読み進めていくのが辛くなり、場合によっては拒絶反応を生んでしまうこともあるでしょう。
個人的には言い切れる自信が逆に怖いと思うこともあります。
自分の中では絶対的な価値観も、他人とっては必ずしもそうとは限りません。
あくまでも選択肢の一つして、考える余白をもって読み手に提案することで、次の記事も読んでみよう、メルマガに登録してみようとなるのではないかと思います。
3 刺さることを狙うのではなく、読み手の共感を得ることを考える
私が文章を書くうえで一番大切にしているのが「共感」です。
少しぐらい文章が上手くなくてもそこに「共感」があれば、読者はこの人の文章を読み続けてたいと思うでしょう。
自分の言いたい事、自分が思っていることが書いてあると、人は文章の上手い下手、読みやすい、読みにくいなんて気にならなくなってくるのです。
人は多かれ少なかれ自分の意見や考えに賛同してほしいものです。
自分の意見や価値観、考え方を否定されるような文章を読み続けたいと思う人はなかなかいません。どれだけ正しいことを言っていても、そこに「共感」がなければ人は読み続けたいとは思えないのです。
正論だけの文章は時にして読み手の反感を買ってしまうこともあります。
文章を書くときに「共感」より「人の心に刺さる」ことを狙って書く人もいます。確かに「刺さる文章」が時にして大きな共感を生むときもあります。
ただ「刺さる文章」というのは何に人が共感するのかを理解したうえで書かないと炎上を生むリスクもあがります。炎上までいかなくても、逆に読み手の気持ちを遠ざけてしまう可能性も高くなります。
「刺さる文章」というのはある程度信頼関係、共感しあえる関係が成り立っているからこそ相手に伝わるものです。
まずは「刺さる文章」を書くのではなく、相手の「共感」を得ることを考えて書くようにしましょう。
文章を書くうえで一番大切な事 顧客層の価値観や望んでいることをまずとことん調べる
私達はついつい自分達の見えている世界や価値観だけで記事を書きがちです。しかし、私達の見ている世界は様々なバイアスがかかった世界だということをまずは認識しておく必要があります。
自分にとって当たり前の価値観や考え方でも、お客様にとってはそうではないということは多々あります。まずは自分の中の思い込みを取り払い、様々な視点で物事を見て、読み手の価値観に触れることが大切です。
相手の価値観に触れる、相手の立場になって考える。
このことを飛ばして、文章のテクニックや文章の型だけを習得しても何の意味もありません。
文章の形にとらわれていても中身がなければ読み続けてはもらえません。
きれいで読みやすいけど何も心に残らない文章ではなく、「誰かの役に立ちたい」と読み手のことだけを思った文章をまずは書いてみましょう。
文章は数稽古。書いていくうちに文章力もついてきます。