事業主になると、「365日、24時間仕事をしている」と言われるような人に出会うことも少なくありません。
それこそ、土日休みなんて関係なし。食事中も入浴の時間もずっと頭の中は仕事のこと一色。なんなら夢の中でまで仕事をしていたなんて話を伺うこともあります。
そこまではいかなくとも、特に起業初期の頃であれば、「人が休んでいる間に働いてこそ事業を伸ばせる」なんて言われたことがある人もいるのではないでしょうか?
ただ、独身の人や、お子さんの手が離れてしまった人であれば、土日なしで仕事をし続ける…なんてことも可能でしょうが、子供がいる、介護が必要な身内がいる…となると四六時中仕事をしているわけにはいかない…という人もいるでしょう。
「子供や介護を仕事の出来ない言い訳にするのであれば、そもそも事業主には向かない!」と言われることもあります。
確かに、「今は起業するタイミングではないのでは?」と思う発信を見かける人もいます。
ただ、事業主にもワークライフバランスは必要です。休むことも、家族との時間を取る事も大切なことです。
働きすぎは時にして健康を害することもあるからです。
ただそういう時こそ「発信内容」には人一倍気を遣う必要があります。
過労死ラインって知ってますか?
世の中、どれだけ働いても元気な社長や事業主っていますよね。
いつ寝てますか?休んでいますか?と問いかけたくなるような人もいるかと思います。
正直、起業1年目や2年目って少しぐらい無理をしてでも頑張る時期だと思っています。ただ限界を超えるまで頑張ることはお勧めできません。
「過労死ライン」という言葉を聞いたことはありますか?
過労死ラインとは、病気や死亡、自殺の原因が長時間労働の影響だと認定する基準になります。
直近1か月間の時間外労働が100時間もしくは、2か月から6か月の時間外労働時間が80時間を超えた場合、働きすぎが原因の可能性が高いとされています。
もちろん、これは労働基準法に基づくものですので、そもそも事業主は労働者ではないので法の対象からは外れます。とはいえ、私達も働く人間ですから、一定のラインを超えれば、身体に影響が出てくることもあります。
どこからが頑張りすぎかがわからないという人にとっては、これらの数値は一つの判断基準になるのではないでしょうか?
例えば、朝8時半~24時まで仕事をしている場合、毎日7時間残業をしている計算になりますので、正直働きすぎです。
事業主であれ、ここまで働くのは健康上のリスクが高すぎます。
今は大丈夫でもどこかで倒れてしまう可能性もあります。
しっかりと休日、休息をとりながら働くことも大切な自己管理の一つになりますので、休むことに罪悪感を抱く必要はまったくありません。
ただ、事業主である以上、周りやお客様から見られているという自覚を持っておく必要はあります。
お休み発信が受け入れられるのは実績を積んでから
起業初期であれば、過労死ラインを超えないのを前提に少し無理をしてでも頑張らないといけない時期もあります。
そしてこの時期は、まだまだ周りの信頼も得ていない時期です。
周りの信頼も得た、起業10年目の人が、たまの土日に「お休みで旅行に来ています」と発信していても、多くの人は「たまにはゆっくり体を休めてくださいね」と思うでしょう。そしてこういうタイプの人は、本当に普段働きすぎの人が多いので、「ちょっとは休んでくださいよ」というのも周りの人の本音だったりします。
でも、そこまでの実績を積み上げていない起業初期の人が、起業10年目の人と同じような発信をしても「たまにはゆっくり体を休めてくださいね」と思われることはあまりありません。よほど働きすぎの人は別ですが…逆に「あの人、大丈夫?」と思われてしまう可能性もあります。
起業初期でのプライベート発信に「楽しそうだね」「リフレッシュしてね」と言ってくれるのは、同じ時期に起業した仲間ばかりではないでしょうか?
〇〇さんがプライベートの発信をしているから…と同じようにすぐに真似して発信するのはNGです。
なぜこの人のプライベート発信が受け入れられるのか?きちんと考えてから発信する必要があります。
休みの日の発信には注意を払う
平日に休もうとも、土日に休もうとも、それは個人の自由です。
私も、平日に用事があればそちらを優先することもありますし、土日に仕事が入れば、平日を代休代わりにして必要最小限のお問い合わせのみに対応しているという日もあります。
正直、お客様は私達がいつ休んで、いつ仕事をしているかなんて店舗など対面のお仕事でないと、ほとんど知られていないでしょう。
昼に知人とランチに行った分、夜中に働いている人もいるでしょうが、お客様はそんなことまで知りません。
特に日本人は、土日営業のサービス業でない限り、多少時間は前後するにしても、平日月~金の9時~18時は仕事とという認識の人も少なくありません。
例え、夜にどれだけ仕事をしていても、この時間帯にランチやお茶だの写真ばかりをSNSにアップしていると、「この人は本当に仕事をしているのだろうか?」と疑われかねません。
特に、平日月~金の9時~18時は仕事に関係のないことを発信すると、プラスになるよりマイナスになる可能性の方が高いことは頭にいれておく必要があります。
これは、ランチやお茶などのプライベートの楽しみ以外もです。
子供の送迎や、ご両親の病院の送迎、ご自身の通院などで平日に時間がとられることも多々あるかと思います。
ただ、これもわざわざ発信する必要のないこと。
「この人、仕事以外のことでとても忙しそうだけど、お仕事任せても大丈夫?」と思われてしまったら、せっかくのお仕事の依頼を逃す可能性も出てきます。
それ以外にも、コロナ禍前であれば、起業仲間同士での旅行を度々SNSにアップしている人もいましたが、こちらもお勧めできません。
旅行に行く、ちょっと遠出する、これらは個人の自由ですから周りにあれこれ言われる必要はありません。
ただ、お客様が見たらどう思うでしょうか?
「私達が支払ったお金でこの人達は優雅よね…」と思われても仕方ありません。実際にこれに類似した話はいくつか聞いたことがあります。
プライベートの発信でファンを獲得する人もいますが、それはごくごく一部です。どちらかというとプライベートの発信、特にお休み中の過ごし方の発信はリスクがあることも知っておきましょう。
お休みを取る事も、リフレッシュすることも、家族や友人との時間を楽しむこと、どれも大切な時間ですが、あなたの発信の先にお客様がいること、そのお客様からお金をいただいていることは忘れないようにしておいてください。
お客様に余計な不安を抱かせない配慮を
事業主なのですから、いつ働いて、いつ休んでも本来であれば文句を言われる必要はありません。ただお客様やあなたにお仕事を依頼しているクライアントは別です。営業日にお休みを取るのであれば、お客様やあなたにお仕事を依頼しているクライアントに迷惑をかけないようにしなければなりません。
仕事のメールやメッセージが全然既読にならない、返事が来ないのに、SNSに遊びの投稿がアップされていたらお客様はどう思うでしょうか?
上にも書きましたが、営業日であればSNSに余計ない投稿をしないのは必須です。
また、すぐに細かな返信が出来なくても、「出先ですので、戻り次第返信します」と一言送ることぐらい、スマートフォンがある今、簡単に出来ます。
それをせずにSNSだけ投稿するのはNG。まずは優先順位を考えましょう。
そして、GWや夏休み、年末年始等であれば、あらかじめ休業日を知らせておくのも一つです。
この時期であれば、休んでどこかに出かけていても何も思われませんから。(ただし仕事はきちんと終わらせておくのが原則ですが…)
事業主だからといって、休みなしで、身を粉にして、家族と不和にまでなって働く必要はありませんし、事業主でもワークライフバランスは大切です。
ただその際には、SNSでプライベートを発信しすぎて、信頼を失わないように注意しましょう。